眼科department

概要

ご挨拶

人が受け取る情報の約8割は視覚情報からと言われています。人生100年時代といえども、目が悪くなるとやりたいことができなくなってしまって意欲が低下したり、歩き回ることが怖くなって家に引きこもってしまって筋力が低下したり、認知症がすすんでしまったり、アイフレイルと言われる悪循環が起こってしまうことがあります。長く健康な視機能を維持することで、一人ひとりが生き生きとした人生が歩めるよう、お手伝いをさせていただくのが、当科の務めです。「一人ひとりに対してベストを尽くす」を第一の目標として、高い技術を提供できるよう、日々の診療にスタッフ一同取り組んでおります。目に関するお困りのことがございましたら、いつでも当科を受診いただければと思います。

診療内容

網膜硝子体疾患、緑内障、角膜疾患を専門とし、白内障、ぶどう膜炎、黄斑疾患を含め、眼科全般の診療を行っています。早期手術が必要な網膜剥離、緑内障発作などの疾患に対しても、可及的に入院手術を行うことが可能です。
多くの方が受けられる白内障手術は、短期入院をご希望の場合は片眼ずつ1泊2日や2泊3日で行います。お体の不自由な方や通院が大変な方、ご希望される場合は、4泊5日の入院で両眼の手術を行うことも可能です。その場合、通院回数が少なくすむメリットと、自分で洗顔したり洗髪したりできない期間が短縮でき、より早期に社会復帰が可能となるというメリットがあります。また、入院までの待ち期間は1~2か月以内となるように体制を整えております。

主な疾患

白内障

通常、目が見にくくなって生活に不自由が出てから手術を行いますが、眼の中の水の出口が狭い方は緑内障発作の恐れがあり、不便がなくても早期に手術をお勧めすることがあります。手術は、約2.4㎜の小切開、無縫合での超音波水晶体乳化吸引術が主ですが、チン氏帯という水晶体の支えが弱い場合には水晶体嚢内摘出術+眼内レンズ縫着を行うこともあります。褐色白内障、成熟白内障、水晶体脱臼にも対応可能です。とり扱う眼内レンズの種類は12種類あり、その中から一人ひとりの患者さんにとって適切なレンズを相談のうえ選択いたします。

糖尿病網膜症

血糖値が高い状態が続くと、全身の毛細血管が傷み、網膜の血管も傷んできます。初期では血糖コントロ―ルで網膜も治りますが、中期以降には血糖がよくても目は独自に進むため、レーザー光凝固で進行にブレーキをかける必要があります。末期には新生血管という悪玉血管が生えてきて、増殖糖尿病網膜症や血管新生緑内障などを生じて失明に陥ります。就労世代である30代~60代が重症化しやすく、より綿密な管理が必要です。病期に関わらず生じる黄斑浮腫や硝子体出血では視力が低下しますが、多くは無症状であることが多く、知らない間に病状が進行してしまって、症状が出た時には失明一歩手前となっている可能性があります。自覚症状がなくても糖尿病の既往がある方は定期的な眼科通院で眼底検査を行うことが重要です。必要に応じて精密検査を行い、薬物療法やレーザー治療・硝子体手術などの治療を行います。

緑内障

見える範囲(視野)が狭くなる病気です。ある程度進行するまで自覚症状がないため、症状を自覚した時にはかなり進行していることもあります。一度失った視野は戻らないため、進行予防にまずは点眼治療を行いますが、点眼をいくつか追加しても進行する場合には手術が必要となり、いくつかの術式から病態別に選択して行います。一方、緑内障が安定していても、白内障が進行したときには、白内障手術と同時に眼内方法よる低侵襲緑内障手術を併用することで、将来的に使用する緑内障点眼数を減らせたり、進行を遅らすことが期待できます。定期的な眼圧検査、視野検査を行い、必要に応じて点眼や手術治療を行います。

網膜剥離

初期には飛蚊症の増加や光がピカピカみえるという症状が出て、進行すると視野が欠けたり見にくくなったりします。放置すると失明に至るため、緊急の手術治療が必要です。硝子体手術という方法と、網膜復位術という方法がありますが、症例に応じて選択をしています。どの方法でも、はがれた網膜がしっかり眼球に癒着するまでの2週間は、目の安静が重要であるため、1~2週間の入院が望ましいです。

角膜潰瘍

黒目の表面には角膜という透明なレンズがありますが、表面が傷つくと、痛みや流涙充血を生じて視力が低下することがあります。また、傷ついた角膜には感染が生じやすく、角膜の深いところまで病気が進行すると、難治性となって後遺症が残って視力が不良のままとなることがあります。様々な角膜の感染症に対して、原因検索後に適切な治療ができるよう対応いたします。

黄斑上膜、黄斑円孔

網膜という眼の中のフィルムの中心部、黄斑という場所に、膜がはったり、穴が開いたりして、ゆがんで見えたり、視力が低下してくることがあります。年齢とともに目の中のゲルが液化することで生じる加齢性の疾患ですが、放置するとゆがみや視力低下が進行するため、自覚症状が出現したら、手術治療を行います。

ぶどう膜炎

約半数が原因不明ですが、ベーチェット病、サルコイドーシス、Vogt-小柳-原田病、桐沢型ぶどう膜炎など、原因が特定できる疾患に対し、鑑別診断を行い、原因に応じた治療を行います。ステロイド治療に反応が不良な硝子体混濁を生じた場合、診断と治療をかねて硝子体手術を行います。

加齢黄斑変性

網膜という眼の中のフィルムの中心部、黄斑という場所に、年をとって障害が起きて著明な視力低下を生じるのが加齢黄斑変性です。ものがゆがんで見えたり、視野の真ん中が黒ずんで見えたりし、放置すれば徐々に中心部が見えなくなっていきます。当院では、フルオレセイン、インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査・自発蛍光眼底検査・3次元眼底像撮影装置などを用いて病状を判定し、抗血管新生薬による治療を行っています。

患者さん・医療機関の方へ

受診されている患者さん、他の医療機関の方、当科へのご要望やご意見、改善点などございましたら、広くお声をお寄せいただければ幸いです。

医師紹介

  • 嶋 千絵子

    嶋 千絵子
    しま ちえこ

    役職 部長
    専門分野 網膜硝子体、緑内障、白内障、角膜疾患
    資格

    日本眼科学会(専門医・指導医)
    身体障害者福祉法指定医
    難病指定医

  • 河合 まり子
    かわい まりこ

    役職 医長
    資格

    日本眼科学会(専門医)
    難病指定医

  • 中井 美穂
    なかい みほ

    役職 医員
  • 川﨑 桃子
    かわさき ももこ

    役職 医員

2022年度 手術件数

(単位:件)

白内障手術(同時手術含む) 827
硝子体手術 59
緑内障手術 40
網膜復位術 1
その他 14
合計 941

外来担当医表

午前 B-9 美井 澤田 河合
B-8 河合 河合 髙橋 髙橋
午後 B-9 手術 手術
B-8 予約外来
河合
髙橋

※金曜日が祝日の場合、眼科の午後の外来診察は、予約の方のみとさせていただいております。

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